不器用でいい 不器用がいい

不器用でいい 不器用がいい

不器用でいい 不器用がいい?

アートを生業にしていると、よく言われることがあります。「器用じゃないとできませんよね」と

また、アトリエにくる親御さんも「この子は不器用なのですが大丈夫でしょうか?」というご質問もたくさんあります。

答えは

「不器用でいい 不器用が良い」です。

不思議に思うかもしれません。アーティストやもの作りの人はみんな「器用」と思われがちですが確かに、「器用」と言われる方はもちろん 多いです。手先が器用であるから プロの方が多いです。

が、しかし実はこの世界

「不器用」な人だからこそ プロになる人が多いのも事実なのです。なぜか?今日は その秘密について(笑)お話します。

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「不器用でいい」

 私は20代の頃 ガラス工房で修行をしていました。そこにはたくさんの職人さんが出入りされていたのですが、口々に私が言われたのが「お前は不器用だな」でした。正直、美術の学校を出てはいましたから、多少は自信はあったのではありますが、職人さんたちの前ではできないことのオンパレード。それはそうです。その道何十年の方達の前で、学校を卒業しただけの私にできることなど、ほぼありません。落ち込み、やる気を無くしたのは想像できるかと思います。

職人技というのは、身についた技ですから、ちょっとやそっとで太刀打ちできるものではありません。そんな中、師匠に言われたことは「不器用でいいのよ、器用な子はすぐにやめちゃうから、でもね 不器用はとにかくできるまでやるしかないから、この世界 不器用な人が残るのよ」と。もしかしたら それは、あの時、何もできなかった私を励ますものだったのかもしれませんが、今も私の指針となっています。師匠の言葉通り、元々器用な人というのは、 なんでもできるわけなんです。だから面倒な(笑)ことなどぜず できることやれることはたくさんあるのです。不器用であるというのは、とにかくできるまで繰り返し、やるしかなく、追いつけ追い越せと努力を続けるので、案外続くコツだったりします。手を動かす仕事というのは、才能はあったほうがもちろん良いですが、実は 長くつづけることの方が大切であることも多いのは事実です。実際 アトリエを長年続けている子はとにかく「好き」だから続ける。という子が一番。不器用だと言われていた子が10年後には、とんでもない技術を持つ子どもたちを本当にたくさん見てきました。続けていることが技術を身につけることには一番大切なことなのかもしれません。

~不器用なままが良いわけではない~

 だからと言って、不器用のまま 何もしないで良いというわけではありません。特にお子さんの場合、今のまま ただ手を動かさないと、本当に一生、不器用のままです。

 今、心配なのは30年前に比べて子どもたちが全体的に不器用になってきているということ。これが私は何よりも心配なことなんです。手先が器用と言われていた日本人ですが、今は、正直、手が動かないお子さんの方が多いです。やればできることが、できていません。手が動かないということは命を守ことができないと思います。とにかく中学生までに身につけておいてほしいことがたくさんあります。

○紐結び
蝶々むすびができる子が極端に少ないです。あるクラスでは 小学六年生でも紐結びできる子が数人でした。特に男の子ができません。ぜひお家で紐結び!チャレンジしてみてください。今はキャンプブームです。ロープワークなどぜひ!

※おうちでアートシリーズはおうちで簡単にできるART 提案しています!

そのほかにも 大切なことは 手の力をつけること楽しみながら増やしてあげると良いですね。蓋を開ける、梱包するなど、ちょっと面倒な仕事 お子さんと一緒にぜひトライしてみてください。

アトリエでは地味ではあるけど大切な「手を動かす」これを繰り返し、子どもたちにしっかりと身につけれるようにすることを続けています。思い描くものを作り出す力というのはこうした地道な技術が身についてこそできるもの。見栄えのよさ、簡単で手軽なことがもてはやされている時代だからこそ、しっかりとした「動く手」を子どもたちには授けたいと思っています。

『針と糸でかばんをつくる』アトリエでは様々な手を使うプログラムを取り入れています。