やらない理由 やらない自由

やらない理由 やらない自由

「やらない理由 やらない自由」

アトリエに来て、10年になるKくん。現在中学3年生 絶賛受験生。
この前 ぽつりぽつりと話始めた。
「昔さ、、「好きなもの書きなさい」とか「なんでも描いていいんだよ」とか言われてさ、余計に描けなくなっちゃったんだよね」と、、「どういうことなのか?」と聞けば『「好きってなんだろう?」と考え込んじゃったら描けなくなっちゃったんだよね。好きってなんだろう、、なんでもいいってなんだろう、、って、好きな食べ物とか、好きな動物とか、色々聞かれて、ああ、いったいぜんたい そもそも「好き」という感情はどこから来るんだろう、、そんなことを考え始めたら描くってなんで?とか、もう、ぐるぐるしちゃって、、、だから 僕は描けなかったんだよ」

と、、彼の言う昔というのは、小学一年生の頃らしい。確かに、、彼は時々、大ストライキ状態になりまして、、教室の隅っこで、ゴロゴロと寝転んで何を声かけてもゴロゴロ ゴロゴロ。描くわけでもなくぶつぶつなんか言ってた。。。なああ  なんと!!今明かされる、、真実!!

そして、敬子先生は気付く!子どもたちには描けない(描かない)理由がちゃんとあって何もしていない(ように見えている)けど何も考えていないわけではなかった、、

ということ。大事なのは「ここ」

アトリエにきて、何も描けない、作れないというと、大人は、焦る。なんとか、「何か」を描かせたり、作ってもらおうとする。目に見える成果物を作らなければ!と思う。でも、本当は、そこに至るまでの 心の成長もだいじなんだということは、わかっている。やりたくないという理由だけじゃなく、「描く」「作る」までには色々あるということなんだな。ここ、ちゃんと大人は、理解して覚えておかなくては、子どもたちの本質が見えなくなってしまうかもしれない。本当に大事なことは、子どもたちが心身ともに成長することであって、上手に作品を作ることだけではないはずなのだ。

子どもの成長というのは、「目に見えないもので出来上がっている」とっても時間がかかるということなのだ。

Kくんのパパとママは今でもアトリエによく来てくださっているのですが、あの時教室に来ても「何もしていない」Kくんをよく見守っていただけたな〜って。よくぞ 継続してアトリエに通わせ続けてくださったなあと頭が下がる気持ちでいっぱい。反対に見守れる親を持っているからこそ。今のKくんがいるわけなんだな。

Kくん以外にも、幼稚園の頃から通っていた子たちが大学生になり、社会人になりアトリエに遊びに来ては、当時の思い出話をしてくれる。いつも驚くのは彼らは ものすごく詳しく色々なアトリエでの出来事を覚えているということだ。

もちろん こちらが覚えていることは忘れていたりもするのだが、たいていは、私がすっかり忘れていることを しっかり覚えていたりする。そんな話を聞くたびに、私はいつも子どもたちの生きている世界の時間の濃密さと、豊かさに感動する。ああ、、大人の杓子定規な世界のなんと狭いことか。

以前にこんなことがあった。外部のワークショップをやっている時にいきなりお母さんが授業中に入って来て「外からずっと見ていたんですが うちの子何もやっていないので、つれて帰ります」と、、、色々と話をさせていただいたのですが、納得いかなかった様子で、それっきり来なくなってしまった。私は、やめてしまった彼の描く絵が大好きだったので、今でもとても残念に思っています。

アトリエで 楽しく、描いたり、作ったりしてもらうことも 大事だけど、考える時間。これも大切にしてあげたいと、実は「ソダテルLABO」はスタートしています。

心の成長も大事にしたい。

子どもたちに 目には見えない豊かな時間を 守りたい。

そんなことを 思っています。やはり、、ここはちょっと変わった アートスクールかもしれません。

説明会スタートします。ぜひ お話聞きに来てください。

https://sodatel.com/news/「2022年度%E3%80%804月生募集!〜説明会のお知らせ〜」